ヌード写真などを掲載したアダルトサイトの多くは、一部のページを無料で閲覧できるようにしておいて顧客を集め、もっと見たい人を有料ページに誘導するという戦略を取っている。そのため、無料ページ内に「もっと見たい人はここをクリック!」と書かれた欄を設け、そこをクリックすると会員登録や支払い手続きのページへと導く場合が多い。

クリックしただけで思わぬ問題発生

 しかし、最近のアダルトサイトの中には、クリックした人のパソコンに各種のソフトを自動的にインストールする仕組みを採用するところも増えてきている。

 実際、このようなトラブルもある。

 オフィスで1人残業中、息抜きに大リーグの試合結果でも調べようと、米国のスポーツ関連のWebサイトにアクセスしてみた。すると、そのページにはセクシーな金髪女性が微笑む広告が掲載されており、思わずクリックしてしまった。画面には、ヌードの女性たちが次々と登場し、ますます見入ってしまう。そして画面上の枠の中に「もっと見たい人はここをクリック!」と英文で表示されていたので、その下のほうになにやら注意書きらしきものが細かい文字で記されていたのだが、気にもせずにどんどんクリックして先のページに進んでいってしまった。

 翌朝、パソコンを立ち上げ、席をはずした彼が戻ってみると……その周りには人だかりがしていた。後ろから覗き込んでみると、自分のパソコンの画面いっぱいにヌード姿の金髪女性の写真が次々に表示されているではないか。どうやら勝手にヌード写真を集めたスクリーンセーバーが起動したらしい。そんなスクリーンセーバーをインストールした覚えはまったくないのに……同僚の女性たちの軽蔑のまなざしが痛い。

 日本でもここ数年多くの被害者が出ている、インターネットの接続設定を国際電話回線経由でつなぐよう専用ツールで自動的に改変し、契約した海外の通信事業者から高額な通話料を請求させる手口も、その一種である。不安に感じる人は、通信事業者などからこの種のツールを検知するソフトが提供されているので利用することをお勧めする。

知らないうちに広告ソフトが組み込まれる!

 これほど悪質ではないが、各種のアドウェア(広告用のソフト)を利用者のパソコンに埋め込む業者も少なくない。アダルトサイトの宣伝用スクリーンセーバーも、このアドウェアの一種だ。

 アドウェアにはこの他、利用者のWebアクセス履歴を記録して自動送信するようなスパイウェアや、パソコン操作中に広告を自動表示させてしまうものなどもある。

 しかも、これらの大半は合法的な手続きを踏んでいるので、苦情を言っても相手にしてもらえない場合が多い。それはどういうことかというと、「もっと見たい人はここをクリック!」と書かれた欄や、そこからリンクされたページには、細かい文字でびっしりと利用規約が書かれているはずだ。そして、その最後のほうに小さく、アドウェアが自動的にインストールされることを了承するという一文が入っているというわけだ。

怪しそうなサイトだったら……

 特に、日本語以外の言語で記述されたアダルトサイトには注意しよう。「more……」と書かれた欄をクリックしたが、お金を請求されることもなかったと安心していると、後で痛い思いをすることになる。日本語サイトの場合にも、怪しそうなら利用規約を隅々まで読んでからクリックしよう。

 また最近では、アダルトサイトではないWebサイトの中にも、訪問者のパソコンにアドウェアをインストールしようとするところも出てきているので気をつけたい。

【鉄則】 クリックする前には、細かな文字でも利用規約は読む