香港では毎週、多くの家族が戦いの場へ向かう愛する人に別れを告げている。さよならを言う相手は黒い服を身にまとったわが子だ。彼らの一部はバックパックにヘルメットを隠し、逮捕された場合に備えて弁護士の電話番号を腕に書き入れ、その番号が騒動の最中にこすれて消えないようヘアスプレーでコーティングをしている。さよならを言う相手は警察官の場合もある。暴力的な路上犯罪の少ないこの都市で訓練を受けた彼らだが、防護服を身に着け、警官隊にレンガや火炎ビンを投げつけるデモ隊に突撃していくのだ。どちらも残された家族は現場からの生配信映像を心配な面持ちで見守ることになる。そこには数々の耐えがたい場面が映し出されている。衝突で抜けた歯が歩道に転がり落ちている映像だったり、警官がよろめきながら自衛のために拳銃を引き抜く映像、催涙ガスの煙の隙間から火の手が上がる映像などだ。