業界内で自分より有名な人の悪口を言っていたとしたら、それは多くの場合、「嫉妬」として回収される。しかし、その人物が失態を犯したとき(あるいは、何か疑惑を持たれているとき)、嫉妬と思われずに、存分にその人物をおとしめることができるのだ。

 あなたも嫉妬に直面し、狼狽(ろうばい)したり恐怖を覚えたりしたことはないだろうか。ビジネス上での「嫉妬」にまつわるエピソードについてをいくつか紹介したい。

後輩の足を
水面下で引っ張る先輩社員

 嫉妬には、第三者から見てわかりやすい嫉妬と、そうではない嫉妬がある。わかりやすい嫉妬は、恐れるに足らない。周囲はむしろ、嫉妬されている方に同情してくれる。怖いのは、用心深く隠された嫉妬だ。

 Aさん(30代男性)は、前職で先輩の男性からの嫉妬を経験した。しかし、そうと気づくまでに約2年かかったという。先輩の男性をXさんとする。

「実は、1年下の後輩の女性から相談を受けていたんです。Xさんと2人で案件を担当することが多かった女性で、『Xさんはおかしい。ミスを後輩のせいにして、成果は自分だけ独り占めしている』と。

 後輩女性は美人で、他の男性社員から『美人は得だ』とか言われることもあったのですが、Xさんはそういうことは言わないし、後輩の面倒見が良くて仕事熱心。その相談を受けたときは、彼女の勘違いだと思っていました。『ときどき厳しいときもあるけど、Xさんが後輩思いなのは間違いないから』と励ましてたんですよね」

 しかしその後、その後輩とXさんの3人でチームを組むことになってから、おかしなことが起こり始めた。

「Xさんの連絡ミスが多いんです。僕と後輩女性にはクライアントとの打ち合わせ日程について違う日にちが知らされていて、打ち合わせが終わったあとからXさんが『ごめん、ごめん』と。そういうことが気づいただけでも3回ありました。

 クライアントの態度から推察するに、Xさんは先方には僕らのミスだと知らせている。クライアントから『Xさんを困らせたらダメですよ』と苦笑いされたこともあります。かといって、自社の先輩の悪口をクライアントに言うわけにもいかない。

 一度、クライアントから数字のミスを指摘されたときは、『あ~、○○~』って後輩女性の名前をわざと言って、まるで彼女がミスしたようにした。しかも、ちょっと笑いながら、ミスった後輩を許すいい先輩、みたいな体を気取るんですよ。演技に年季が入っていると思い、背筋が寒くなりました」