トマス・フィリポン氏が大学院で学ぼうとフランスから米国に移り住んだ1999年、インターネットサービス、携帯電話プラン、航空券などはすべて、フランスよりも米国のほうが安かった。その20年後、こうした価格を見比べてみて彼が気付いたのは、フランスだけでなく欧州・アジアの国々の方が米国よりも安くなっていることだ。この20年間に何が起きたのか。それは、企業の集中化の進展と、そこになぜ非人為的な経済の力だけでなく政治的選択もかかわってくるのかというケーススタディーの魅力的題材となる。これらはニューヨーク大学の経済学者であるフィリポン氏の著書「The Great Reversal: How America Gave Up On Free Markets(仮訳=大逆転:どのようにして米国の自由市場は失われたのか)」の主題である。同書は来月、ハーバード・ユニバーシティー・プレスから出版される。