7月3~6日まで香港で開催された展示会「香港ファッション・ウィーク」。1250の出展数を誇る巨大展示会からは、世界経済の影響やファストファッションブームの現在などさまざまな状況が見て取れた。そこに見えた日本アパレル中小企業参入のスキマとは?(取材/撮影 岡田和恵)
欧州危機の影響はどの程度?
香港で年に2度開催される「香港ファッション・ウィーク」は、中国や香港を始めとするアジアのOEM企業と世界をつなぐ場所として早くから注目を集めていた展示会だ。世界最大手のファストファッションブランドであるH&Mなどと取引がある企業も多く出展し、ブームを支える存在として機能している。2013年の春夏向けは7月2~6日まで開催され、出展数は約1250。香港で開催される展示会の中では大規模だが、出展者からは「今回は来場者が少ない」という声が多数聞かれた。
フランスの「パリファッション・ウィーク」と開催時期が重なったこともあるが、多くの企業は「欧州危機」をその理由として挙げる。また、「世界の工場」こと中国から生産拠点を移す流れや、中国で開催される展示会に直接参加するバイヤーが増えたとする企業もあった。
「香港返還後の不況やSARSも経験しているが、いまが一番悪い」と語るのは、ファッション雑貨を手がける香港企業だ。欧米有名ブランドのOEMを請け負い、年間生産量の9割を輸出用としている。長年の顧客が多くこれまで出展する必要はなかったが、オーダー量も回数も激減。「オーダーの量も回数も減った。取引先に対する銀行からの融資が遅れているので、オーダーの時期も遅くなっている。オーダーをしたくても金がないという状況のようだ」と、新規顧客開拓の必要性に迫られている。
ヨーロッパとの取引を主にしている香港のニット製造企業も、状況は同様だという。新たな顧客候補を中国と考え、「今後は欧米との取引で培った技術力を持って、中国メーカーのOEMを請け負うだろう。シンプルを好む欧米とはセンスが異なるが、中国市場向けのデザインを増やす」としている。