中国・都市部に住む25~30歳前後の若者に、日本の10代後半から20代前半をターゲットにしたアパレルブランドが人気だ。同じく若者に人気のメガブランド、H&MやZARAとは単純に規模で劣るが、そこは複数のブランドで共同販促を企画するなど、独自の工夫で対抗している。その中心的ブランドである「ナイスクラップ(NICE CLAUP)」を中国で展開する上海奈伊茜商貿有限公司の董事長・総経理の太田氏に、激戦の中国アパレル市場について話を聞いた。

ライバル同士が手を組み
規模感が出たことが奏功

太田俊信・上海奈伊茜商貿有限公司董事長 総経理

――お互いライバル関係にあるブランドが、「harakawa」と銘打って共同販促企画を行共同で販促を行なうことになった経緯をお教えください。

 これまで中国のカジュアルファッションは、ドメスティックブランドに加え韓国系、香港系、台湾系、欧米系など世界中のブランドが凌ぎを削っており、後発の日本ブランドが単独で勝負してもなかなかインパクトはありませんでした。そこで、日本ではお互いに競合同士ですが、「中国ではやれることは一緒にやっていこう」ということで、日系の原宿カワイイ系ブランド「harakawa」として、共同活動をはじめました。

「harakawa」とは、「原宿カワイイ系ブランド」のことを指します。 2年ほど前から中国にすでに出店していたオリーブ・デ・オリーブ、エムズ、ナイスクラップなどが中心になって、共同イベントなどを企画して、販促に取り組んでいます。

 まずは日系原宿カワイイ系ブランドの啓蒙活動が必要と考え、共同プロモーションイベントをスタートさせました。中国では派手なイベントが多いので、消費者への効果的なアピールを狙うためにはそれなりに予算をかける必要があります。1ブランドでは予算面で難しいイベントなど「harakawa」として共同で行うことで規模感を出せるようになりました。

 その結果、一連の活動がメディアで取り上げてもらえるようになり、最近では、中国の百貨店、ショッピングセンターから「harakawa」が注目されるようになってきました。従来からあるローカルブランドや台湾、香港、韓国系のブランドばかりで売り場を作るのではなく、「harakawa」を中心に売り場をつくる方が、日系という切り口がわかりやすく表現できるからだと思います。