香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は緊急条例を発動し、公共の場での集会で顔を隠す行為を禁止する「覆面禁止法」を5日から施行すると発表した。違反者には最長1年の禁錮刑が科される。英国の植民地時代に導入された緊急条例を発動した理由について林鄭長官は、長引く抗議デモにより公共の安全に重大な危害が及んだためと説明した。デモ参加者の多くは身元を隠したり警官隊が発射する催涙ガスから身を守ったりするため、マスクを着用している。覆面禁止法では、フェースペイントを含め、いかなる素材であっても顔を隠す行為は違法とみなされる。香港では4日、覆面防止法制定が伝わると抗議デモが一段と活発化し、香港政府庁舎周辺の道路はデモ参加者で埋め尽くされた。覆面の禁止を巡っては、過去50年余りで最悪の社会不安を警察が鎮圧する後押しになるどころか、緊張をさらに高めかねないとの批判もある。