企業が消費者とのやりとりの中で収集したデータの扱いをめぐり、世界中で混乱や懸念が生じている。
調査会社イプソスが昨年秋に実施した世界規模の調査を見れば、懸念や不安の大きさが分かる。企業が自分のデータをどれくらい持っているかや、企業がデータをどう扱っているかについて、ほとんど知らないか、全く知らないと回答した人は約3分の2に上った。さまざまな企業や政府機関はそれぞれが所有する自分の情報を正しく使っているかについては、一定程度以上、信頼していると回答した人は平均で約3分の1にとどまった。
問題は現状をどうするかだ。一つのアイデアとして、個人に自分のデータの所有権と、好きなように販売したり使用を制限したりする権利を与えて、今以上に自分のデータをコントロールできるようにすることが考えられる。これについて、賛成派は、消費者がプライバシーを守れる、データの使用の見返りが得られる、データの幅広い流通で競争やイノベーションが生まれると主張。反対派は、消費者は十分な報酬を得られないままさらに多くのプライバシーを明け渡すことになる上、情報の流れが阻害されると懸念している。
スタンフォード大学経営大学院で経済学を担当するクリストファー・トネッティ准教授は、消費者が自分のパーソナルデータを所有し、販売できるようにするべきとの意見だ。ブルッキングス研究所の客員研究員で、商務省で法務顧問と長官代行を務めたキャメロン・F・ケリー氏は個人に所有権を与えるアイデアに反対している。