ブレグジット新協定案、5つのポイント
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 英政府と欧州連合(EU)は17日、新たに修正された英国のEU離脱(ブレグジット)案で合意した。ボリス・ジョンソン英首相が主張する10月31日の離脱実現に向けた可能性に道が開かれた。

今月中のEU離脱に必要なことは?

 EU首脳は17日に新たな離脱条件を承認した。今後は英議会・欧州議会双方の承認を得る必要がある。EUは域内24言語への翻訳文書を21日までに用意するとした。EU側の議員は合意履行に前向きな姿勢を示す。最大の難関は19日に予定される英議会の採決だ。ジョンソン首相の与党は過半数を握っていない。閣外協力する英領北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)はすでに不支持を表明している。

英議会が否決したらどうなるか?

 ジョンソン氏が19日の採決で敗北すれば、先に成立した法律に基づき、EUに期限延長を要請する義務がある。同氏がこれに従うとして、EU首脳は延長を認めるかどうか、認めるなら期間をどうするかを決めなくてはならない。欧州当局者は要請を拒否する可能性は低いと話す。ただ、どの程度の猶予を与えるべきかは難しい判断になる。ブレグジット問題を早く片付けたいのはやまやまだが、EU首脳陣はジョンソン氏が総選挙を望んでおり、英野党が2度目の国民投票を主張する中、離脱期限が後ずれする可能性も視野に入れる。

否決されたメイ前首相の案と似ている点は?

 ジョンソン氏の前任者がEUとの交渉で合意した2018年11月の離脱案と大部分は変わらない。英国が離脱費用を支払うほか、EU市民が英国に居住し続ける権利を認めることでも合意した。ジョンソン氏は英国が社会・環境・課税・労働に関する「確固たる」基準を擁護するとした内容に渋々ながら署名した。それと引き換えに、EUは将来の貿易協定で関税ゼロ、割当枠ゼロを目指すことになる。

主な違いは何か?

 メイ前首相の離脱案では、EUとの緊密な経済関係を維持し、アイルランド島内に物理的な国境を設けるのを避ける手段として、英国全体がEU関税同盟に無期限でとどまる可能性が高かった。新離脱案は、英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの間で国境管理を行うのを回避するため、北アイルランドのみがEU規則に従い、英国本土から北アイルランドに物品を運ぶ際に規制・税関上の検査を義務づけることにした。将来的に英国全体として貿易交渉を行うことは可能だ。

EUはどんな譲歩をしたのか?

 EUは将来的な貿易交渉で英国が恩恵を受けられるようにするほか、4年ごとに北アイルランド議会がEU規則の適用を受け入れるかどうかを確認することに同意した。またEUは英国が関税制度を設けて監視することを容認。英国は北アイルランドで運用される付加価値税(VAT)に対する権限を持つと述べた。北アイルランドはEUのVATルールの多くも受け入れる必要がある。EUは明らかにEU単一市場ではなく北アイルランド向けの一部製品については、関税適用を除外する可能性があると述べた。

(The Wall Street Journal/Laurence Norman)