韓国経済の“肝”である
輸出の減少傾向

 現在、韓国経済の減速懸念はこれまで以上に高まっている。

 特に、昨年12月以来、韓国経済の“肝”ともいうべき輸出は減少傾向を続け、今年9月まで10ヵ月続けて前年同月の実績を下回った。10月に入ってからも、減少傾向に歯止めがかかる兆候はみられない。

 その背景の1つには、世界的な貿易取引の減少がある。20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、米中の貿易摩擦が世界経済の減速懸念を高めているとの見解が共有された。世界的なサプライチェーンの混乱などによる貿易取引の落ち込みから世界各国で景況感は悪化傾向にある。

 その中でも、輸出依存度の高い韓国経済は最も影響を受けている国の1つだ。

 今後、米国経済の景気減速懸念が高まることになったり、英国のブレグジットの動向などによっては、さらに世界の貿易量が低下することも考えられる。その場合には、海外に依存してきた韓国経済の下方リスクは一段と高まることが想定される。そうしたリスクは、輸出依存度の高い韓国経済にとって、ある意味、想定通りの展開に落ち込んでいるともいえるだろう。

 そうした状況下、韓国企業は生産能力を調整し始めたようだ。9月まで韓国の生産者物価指数が3ヵ月続けてマイナスになっている。生産能力の削減などを優先する企業が増加すると、韓国の雇用・所得環境にもマイナスの影響が波及しやすい。

 一方、韓国の消費者信頼感も軟化傾向にある。成長の牽引役である輸出が減少傾向をたどり、国内の過剰生産能力の問題が顕在化しつつある経済環境下、韓国の家計は先行き不安を強めているのかもしれない。

 それに対して、現在、文政権の経済政策は目立った成果を上げていない。今後、金融・財政政策を総動員しても、自力で景気回復を目指すことが難しくなる可能性は高まる可能性は高いはずだ。