米軍が過激派組織「イスラム国(IS)」の最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者を殺害し、シリアで成功させた大胆な急襲作戦の教訓は非常に単純なものだ。米国の前国防長官で、中東で司令官として米軍を指揮した経験を持つジム・マティス氏は「事実は彼が、われわれに刃向かった男だったということだ。われわれは彼を殺害した。これが現実だ。米軍のすべきことは『お前を地球の果てまで追いかけ、見つけて、殺す』ということだった」と語った。ドナルド・トランプ米大統領にとって、今回の急襲作戦が持つ意味は同様に前向きなものだが、同時にもっと複雑なものでもある。ISの指揮官であるバグダディ容疑者とその腹心らの殺害に成功したことで、政治的には、米軍のシリア撤収を決断したためにトランプ氏が受けている激しい批判が部分的に打ち消されるだろう。シリアからの米軍撤退により、米軍と協力してきた現地のクルド人がトルコの猛攻撃にさらされることになった。
IS指導者殺害、トランプ氏の利益は一時的
米軍のシリア撤収を決めた大統領への批判は一部緩和されるが、過激派との戦いは続く
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