サウジアラビアの石油専売会社の株式はエクソンモービルのような銘柄なのか、あるいは怪しげな国債のようなものなのか。新規株式公開(IPO)を控えた国営石油会社サウジアラムコの企業価値を評価する場合、投資家が同社株をどう捉えるかによって、評価額は1兆~2兆ドル(約109兆~218兆円)超と異例の幅広いレンジになる。もしかしたら、このレンジさえも下回るかもしれない。まず基本的な情報から見ていこう。アラムコは驚異的な規模の企業だ。一国にも匹敵する。評価額の下限でも全ブラジル株の総額を上回り、上限では韓国、オーストラリア、スイス、ドイツいずれの市場の株価総額をも上回る。全く独自の資産クラスだ。3日に正式発表されたIPOが実際に行われると想定した場合、アラムコは世界で最も収益性の高い企業になる。保有原油埋蔵量は最大で、1バレル当たりの産出コストは最も低い。来年の配当予定額は750億ドルと、アップルの2019年度配当額の5倍に上る。アップルの配当額自体、S&P500構成企業で最大だ。
アラムコの評価額、1兆ドル超は見合わず
収益性は世界一でも政治リスクは計り知れない
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