ソフトバンクグループ傘下で「ヤフー」を運営するZホールディングスが、メッセージアプリ運営大手のLINEと経営統合に向けた交渉中であることが明らかとなった。そこでダイヤモンド編集部では、緊急特集「孫正義『300年帝国』構想の秘密」を全3回でお届けする。ソフトバンクグループ総帥の孫正義が憧れる人物といえば坂本龍馬だ。だが実は、孫の半生は龍馬と同時代に生き、三菱財閥をつくった岩崎弥太郎・弥之助兄弟に重なる。巨大財閥を形成した彼らの共通点とは。(敬称略)
>>緊急特集(1)【「ヤフー・LINE統合」の理由は、孫正義氏の経営哲学にヒントあり】から読む
孫正義と岩崎弥太郎の第一の共通点
「恵まれない生い立ち」
孫正義と岩崎弥太郎の人生は、その出発点から似通っている。第一の共通点は恵まれない生い立ちだ。
孫は佐賀県の在日朝鮮人集落に生まれた。住所は「鳥栖市本鳥栖町無番地」。番地がないのは国鉄の土地を不法に占拠して住民が住み着いたからだ。
孫の父は、養豚や密造酒の製造で家計を立てた。豚のふん尿や餌の残飯、さらには密造酒の強烈な臭いの中で孫は育ったとされる。
孫が中学生になると一家の暮らし向きは改善したが、そんな矢先、父が吐血して入院。家計を支えるために、孫が学業を諦めかけたこともあった。
一方、弥太郎も武士の身分を剥奪された貧しい家庭で育つ。
弥太郎が二十歳のころ、激しやすい父が地主相手に暴力沙汰を起こして重傷を負う。この事件の処分を不服として奉行所に抗議したことが原因で、弥太郎が監獄に入れられたこともあった。