Photo:PIXTA
3月1日から、治療抵抗性高血圧症の新しい治療法として「腎デナベーション(RDN)」が保険適用された。
治療抵抗性高血圧症とは、利尿薬を含む3種類以上の降圧薬をきちんと飲んでも、血圧のコントロールが不十分な状態を指す。国内で降圧治療中の患者、およそ1610万人のうち1~2割が該当するとされる。
高血圧症の発症には、生活習慣や精神的ストレスからくる自律神経系の調節異常などの要因が絡んでいる。たとえば、交感神経系を介した脳の「昇圧指令」と、腎臓から脳に伝達される「昇圧要請」シグナルが何かの原因で悪循環を起こすと、複数の降圧薬を飲んでも血圧が下がらなくなる。
今回、保険適用されたRDNは、太ももの動脈を介してカテーテルを挿入し、腎動脈の外膜を走る腎交感神経を高周波や超音波で焼灼して、脳と腎臓の間の誤シグナルを遮断するもの。
高周波を使ったRDN(降圧薬も併用)の長期成績では偽施術群と比較し、RDN群の血圧値は施術3年後も午前中の上の血圧値で平均11mmHg、夜間は11.8mmHg有意に低く、降圧効果が長期間持続することが示された。
超音波によるRDNの臨床試験は術者の技量をそろえるなど、より厳しい条件下で行われた。診察室血圧よりも正確な自由行動下血圧測定(ABPM)で降圧効果を検証した結果、偽施術群と比較し施術2カ月後の上の血圧値は6.3mmHg低値で、降圧効果は半年後、1年後も持続していた。
双方の副作用はカテーテル挿入時の血管の損傷や感染症などで、長期的な安全性の問題は確認されなかった。
RDNの対象者は、降圧薬を服用しても診察室血圧が140/90mmHg以上、かつABPMでの24時間血圧が130/80mmHg以上、または早朝、就寝前の家庭血圧が135/85mmHg以上など。施術施設も関連学会の認定や、専門医、専門チームの配置などの条件が設けられた。
RDNには、朝の起床前後に血圧が急上昇する「モーニングサージ」や夜間高血圧を抑える効果が期待されている。ただし、せっかく新しい治療法が登場しても受診しなければ始まらない。今年の春の健診で高血圧を指摘されたら、無視をしないことです。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)







