「10年以上息子の言葉を聞いていない」
小学5年の不登校を機に全緘黙に

 やはり、20歳代の息子が「緘黙」という母親のCさんは、小学5年生のとき、不登校が始まると同時に「全緘黙」になり、まったく言葉を発しなくなった。

 以来、10年以上にわたって、一言も息子の言葉を聞いていない。

 Cさんも、公的な相談機関や児童精神科など、様々な専門家に相談に出かけてみた。しかし、「いままでしゃべっていたのだから、そう心配しなくても、そのうち話せるようになりますよ」「そのまま待ちましょう」などといわれてきた。

 しかし、その後も、しゃべらないだけではなく、繭の中に入っているように、自分の感情を閉ざして、ベールをかけてしまったような状態がずっと続いている。

 Cさんは、こう振り返る。

「小学校のころから、いつかは不登校になるんじゃないかなと思うようなことが、いくつもありました。いまから思えば、よく5年まで通っていたなって。それまでは担任が変わるたびに、話せるようになったり、ぶりかえしたりしてました。大人の対応が重要なので、緘黙症の特徴がわかって、対応が認知されていれば、防げたのではないかと思うんです」

人と話せなければ社会に出られない
息子の大学卒業後を憂うる母親

 同じく20歳代の息子が「場面緘黙」という母親のDさんも、子どもが小さいときから、大人しい子だったため、そのうち「普通にしゃべれるようになるのだろう」と、ずっと思ってきた。

 Dさんの息子は、小学校時代、学校には休まず通っていた。

 ところが、中学に進んだ頃から、友人はほとんどいない状態。「何か思春期の問題を抱えているのかな」と心配になり、大学病院や小児科に連れて行った。すると、医師からは、「学校にも行っている。様子を見ましょう」といわれ、高校に入学してからも、何とか通学していた。

 しかし、あまり様子が変わらない。そこで、大学病院へ再び行って診てもらったところ、そこで初めて「場面緘黙」という症状があることを知らされたという。