ヤフオクで厨房機器を手に入れ
手作りで作った串カツ田中1号店

 それまでは東京と大阪の一等地で、施工に数千万円かけた店をやってきましたが、そんな金は到底ありません。

 1週間ほど物件を探し、世田谷区の住宅街の一角で、保証金がなく、うそみたいに安い物件を見つけました。雑居ビルの1階で、もともと飲食店だった14坪の居抜き物件です。店のコンセプトは、大阪の住宅街にある串カツ屋ということにしました。

 内装は大工さんと一緒に自ら作りました。厨房機器などはヤフオクで競り落とし、椅子はパイプ椅子、テーブルも安いものを見つけたり、ドラム缶を使ったりすることで、出店費用は300万円で収まりました。

 そして、串カツ田中1号店のオープン当日を迎えました。

 14坪という小さな店ですし、「最後の思い出作り」の気持ちでしたから、それほど大きな期待があったわけではありません。

 ところが、開店早々から大にぎわいとなりました。店の前にはお客さんが大行列で、道路にビールケースとその上に板を置いてテーブル代わりにして、食事を出すほどでした。

 東京の懐石料理の店は約40坪で客単価は約1万5000円。その月商が800万円でした。一方、串カツ田中は14坪で客単価2400円と低いけれど、お客さんの数が多いので月商は800万円以上。初期投資も運営コストも低いので十分な利益を生み出し、出店コストの300万円はわずか1カ月で返済できました。さらに1年半ほどで、数千万円あった会社の借金もすべてなくなりました。

 人気の理由を後講釈で挙げることはできるかもしれませんが、本当のところ、なぜ、串カツ田中がこれほどお客様の支持を得られたのかはわかりません。