「麻布→東大卒」でありながら「プロゲーマー」という経歴が、世間の話題となったときどさん。しかし順風満帆だった彼のプロゲーマー人生は、ゲーマー20年目の2013年ごろに壁にぶつかった。格闘ゲームのeスポーツ化による環境の変化によって、全く勝てなくなったのだ。
発売即、重版が決定した新刊『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』では、そのV字回復の軌跡を紹介しながら、ときどさんが毎日やっている「努力のやり方」を紹介している。「圧倒的に変化が激しい」eスポーツの世界で戦うために、必要なこととは何か。ビジネスマンにも役立つエッセンスを語ってもらった。

東大卒プロゲーマーときど「極度な面倒くさがりの僕が受験勉強とゲームを両立できたワケ」Photo: Adobe Stock

ダメな自分を前提にした「仕組み」を作る

 東大卒というだけで「勉強を頑張ったんですね!」「意志力がありますね!」と言われるのですが、残念ながら僕の場合はそうした言葉はまったく当てはまりません。実は、僕は極度の面倒くさがりで、物事を続けたり、継続したりするのが本当に苦手です。週1回のインターネット配信のために移動するのがダルいので、会社(配信の撮影場所)に住んでいたくらいです。

 そういう人が何かを本気で継続したい、やり遂げたいときに意志の力に頼っていると、何も実現しません。大事なのはダメな自分を前提にして、それでもなんとか努力が続く「仕組み」を作ってしまうこと。自分が「動く」のではなく仕組みに「動かされる」ようにするのです。
有効なのが、あらゆる行動を「ルーティン化」してしまうことです。ルーティンとは、「決まった手順」「日課」などを指す英語です。毎日同じ作業を繰り返す仕事を「ルーティンワーク」といって少しマイナスの意味で捉えられることも多いようですが、僕はこれを逆手にとって利用しています。

 決めてしまっても差し支えないことは決めておく。そうすることで、決断するコスト(時間、労力)をゼロにすることができます。

 決断というとなにか重大な判断を思い浮かべるかもしれませんが、日常生活は常に決断の連続です。ご飯かパンか。お茶にするかコーヒーにするか。今日は何を着て出かけるのか。どちらのコンビニに行くのか。無意識であっても意外に気力を消費させられるものです。それらが積み重なるとあなどれません。