金相場は8日のアジア取引時間帯に1オンス=1600ドルを超え、ほぼ7年ぶりの高値をつけた。イラクにある駐留米軍基地に対するイランのミサイル攻撃がきっかけとなったこの上昇は、対立の影響が米経済の見通しに波及しない限り短命に終わるだろう。金は対立や緊張がエスカレートした際の資金逃避先として有名だが、長期的な金相場を占う役割はあまり果たさない。代わりに米国の実質利回り(国債利回りからインフレ率を除外)が、金相場の動向を映す最も重要な要素となっている。この関係は完璧ではないが、両者には目立った相関性がある。金融危機以来、金相場が大幅に上昇または下落した時には、実質利回りは逆方向に動いている。この関係は感覚的に分かりやすい。実質利回りはリスクフリー金利の代表だ。金利が上がれば、金をはじめ、金利や配当などの収入を提供しない投機的資産の魅力が低減する。