テレビと布団を見れば即バレ!老後の一人暮らしで「幸せな人」と「寂しい人」の決定的な違いPhoto:PIXTA

独身を通してきた人をはじめ、配偶者と死別・離別した人など、世の中にはさまざまな事情で「おひとりさま」として暮らす人がいます。しかし一口におひとりさまと言っても、年齢を重ねた後も幸せに生きていける人と、不安やストレスにさいなまれながら生きていく人に分かれるのが現実です。両者を分ける「壁」の正体は何なのでしょうか。生前整理・遺品整理のプロ、山村秀炯(やまむら・しゅうけい)氏の書籍『老後ひとり暮らしの壁』から抜粋して、その答えをお届けします。今回のテーマは「部屋の整理整頓」について。

生活スタイルが現れる2つのポイント

 ゴミ屋敷のような部屋を片付けにいくと、その散らかり具合も多種多様なのですが、ある2つの点は不思議と共通しています。

 ひとつは、テレビの周りです。

 ゴミ屋敷にはあらゆるゴミが散乱しているのですが、お酒の空き缶がテレビ台や、もしくはテレビ近くのテーブルに集中して置かれているのをよく見ます。

 考えてみれば当たり前のことで、生活の中心がテレビになっているので、自然と空き缶が溜まるわけですね。このようなケースの人は、テレビや、テレビの前に置いたテーブルの周辺で1日の大半が完結しています。すぐ手が届くところにいろいろなものが配置されているのです。さながらその人の基地あるいはコクピットといった様相です。

 非常に省エネで面倒くさがり、消極的な生活スタイルが透けて見えます。なにしろ空き缶をゴミ袋にまとめることすら、しないのです。テレビは受動的なメディアです。なんとなくテレビをつけて、なんとなく眺めて、平穏に1日が終わる。これは決して悪いわけではありません。ただ、積極的に自己決定する経験は非常に限られているのではないかと想像します。

 孤独死された方の遺品整理のときにこのような部屋に出くわすと、「お酒で寂しさを紛らわせていたのかな」などと感じさせられて、切ない気持ちにもなります。

 もうひとつは、寝床です。

 布団のシーツや枕カバーは、とにかく洗ったり取り替えたりするのが面倒で、ひとり暮らしの人では長く使いっぱなしの「万年床」になりがちです。

 生活情報サイトなどを見ると、寝具はだいたい週に1回は洗濯する人が多いようです(参考:「ESSE online」)。ひとり暮らしの場合、自分しか使わないし、寝られれば構わないとつい放置してしまうのは無理もないかもしれません。ただ、先々のことを自分で決定していたり、適度な人付き合いを保っているおひとりさまは、こういった面倒なこともしっかりとこなしている印象があります。