特集『高配当・半導体・生成AI超進化!5年後の業界地図』の#22では、アナリストの業績予想に複数のスクリーニング条件も追加して、「5年後の割安株120銘柄」を選抜した。増益基調の割安株を中長期で保有して、「実力値」に株価が修正されるのを待つ割安株投資は、短期的な成績を求められない個人投資家向きの投資法だ。日経平均株価は高値圏で推移しているが、割安株であれば相場が崩れたときにも下値リスクは小さい。投資初心者も注目してほしい。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
総合商社やメガバンクのように
「株価が飛躍する割安株」を探せ
半導体関連銘柄などがけん引して、34年ぶりに史上最高値を更新した日経平均株価。AIやインバウンドなど旬のテーマも株価を押し上げる材料になった。
だが、これらの銘柄は人気化したことで、すでに割高水準まで買われているものも目立つ。生成AIが骨太テーマだとしても、「今から買っていいのか」と悩んでいる個人投資家も多いはずだ。
そこで注目したいのが、利益や純資産などと比較して株価が割安な銘柄を狙う割安株(バリュー株)投資である。すでに株価が割安な水準なので、極端な業績悪化がなければ下値リスクは小さい。初心者にも向いている投資法である。
割安株投資は地味な投資法ではあるが、大きなリターンも期待できる。実際、近年では、メガバンクや総合商社セクターの「割安度」が注目され、株価が大きく飛躍した。
割安度を測る代表的な株価指標には、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)の二つがある。株価を利益と比較したのがPERで、株価をEPS(1株当たり純利益)で割って算出。一方、株価を保有資産と比較したのがPBRで、株価を1株当たりの純資産で割って算出する。共に単位は「倍」で、数字が小さいほど株価が割安だと判断される。
今回は5期先のコンセンサス予想(アナリストの業績予想の平均値)がある約600社を対象に、「5期先利益に対して割安な株」を選んだ。スクリーニング条件として、5期先の当期利益が今期の当期利益よりも減少する企業は除いている。減益の場合は、PERが低くても、今の株価が必ずしも割安とはいえないからだ。
ランキングは、株価を5期先のEPSで割って算出した予想PERが低い順に並べた。参考数値として5期先までの当期利益の伸び率と今期予想PER、PBRも付けた。いわば、業績が伸びているにもかかわらず、株価が割安な企業リストである。
次ページでは5期先の利益に対して割安な株120銘柄を紹介。45位までの企業の5期先予想PERは8倍未満となった。株価の割安感は極めて強く、市場予想通りの展開となれば株価の見直し余地は大きいはずだ。
ランキングに登場する銘柄は「利益の増加」を条件にしているので、攻めにも守りにも強い銘柄候補ともいえる。総合商社やメガバンクのように、株価が大きく飛躍する企業を探してみてほしい。