「三角関数は意味不明」「微分積分?なんなのそれ?」などと言いながら、多くの人たちが敗北感とともに算数・数学から離脱していく。だがその一方で、算数・数学が好きだという人もいる。彼らの頭の中は、いったいどうなっているのだろうか?※本稿は、math channel・横山明日希『文系オトナですが、今から数学を楽しめますか?』(笠間書院)の一部を抜粋・編集したものです。
算数・数学嫌いの大半は
中学校以降から始まっている
まず、算数・数学を好きになってもらう前に、これまでの算数・数学との関係を見つめなおしてもらおうと思います。算数・数学が嫌いな人はいつからそう感じているのでしょうか?
math channelでは、2019年に「算数・数学に対する意識調査」というアンケートを実施しました。SNSを中心に呼びかけ、492名の方の回答をいただきました。
算数・数学が嫌いになった時期は43%が「中学校」、26%が「高校」となっていて、7割近くが中学校以降に嫌いになっていることがわかります。
また、特記すべきこととして、「算数・数学がかなり嫌い」と答えた人で「小学校入学以前から」と答えた人はなんと0人(!!)、「まぁまぁ嫌い」と答えた人の中に1人いるだけで、「小学校入学以前から算数が嫌い」と答えたのは全体の0.2%にすぎないのです。
つまり、小学校入学前の時点では、ほとんどの人が算数に対してポジティブな印象を持っているということ!ここに、算数・数学を好きになるヒントが隠されているように思います。
それでは、「算数・数学が嫌い」と答えた方のその理由を見ていきましょう。
〈小学生の頃からの人〉
●長期休暇中、学校の宿題とは別に母が買ってきたドリルが難しく、間違えると叱られたため(32歳、社会人)
●かけ算の筆算からわからなくなりそのまま泥沼だった。今となってもよくわからない(25~29歳、社会人)
●小4か5年の代数がわからなかった。なぜ〇や△で置き換えて考えなければならないのかわからなかった(40~44歳、社会人)
〈中学生の頃からの人〉
●それを解くことがなぜ必要なのか、人生にどう作用するのかがわからず、自分事化できなかった(44歳、社会人)
●理解が追いつかなくなり、そのままそれを取り戻す機会がなかった(40~44歳、社会人)
●証明問題という、言葉で説明するということに違和感があった(45~49歳、主婦)
〈高校生の頃からの人〉
●中学までは割と得意だと思っていたが、高校から難しいと感じたから(23歳、大学院生)
●三角関数にて数字以外のものを使わないと数字を扱えないことにやり場のない人類の敗北感とやるせなさを感じて、数学を知ることはすべて無駄だと思うようになった(30~34歳、社会人)
●全くわからなかったから、嫌いというか正確には「わからない」から面白くない、楽しみ方がわからないと言った方が正しい(25~29歳、社会人)