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インキュベーションの虚と実

ひとりよがりでは最強のチームをつくれない
間違いだらけの人と組織

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第8回】 2012年8月6日
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間違いだらけのスタートアップ採用
改善できることだらけ

岡島悦子/株式会社プロノバ代表取締役社長。リーダー育成・経営チーム強化コンサルタント、ヘッドハンター。経営のプロが育つ機会(場)を創出。 三菱商事、ハーバードMBA、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2002年グロービス・グループの経営人材紹介サービス会社グロービス・マネジメント・バンク事業立上げに参画、2005年より代表取締役。2007年プロノバ設立。 グロービス経営大学院教授、経営共創基盤アドバイザー、グロービス・キャピタル・パートナーズ ヒューマン・アドバイザー。ダボス会議運営の世界経済フォーラムから「Young Global Leader 2007」に選出される。 筑波大学国際関係学類卒業、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)

 それでも、やはり、KA(こいつらアホか)と言いたくなる例は珍しくない。

・自分の会社に惚れこんでいて、「この会社はスゴイから黙っていても人が入りたがるはず」と言い張る、恋は盲目タイプ

・オレは営業の天才だから採用でも口説き上手だし、人を使うのも説得上手だ、と奢るうぬぼれタイプ

・人と組織について自分がよく分かっていないとは認めず、人の言うことを聴かずに我流に走る突っ張りタイプ

・自分がよく分かっていないと理解しているが、変な採用エージェントなどをすぐ信用して変な採用をしている盲従タイプ

・結局は自分が頑張りさえすればなんとかなると思って、いい人材を得る努力を欠き、場当たり的な採用をする唯我独尊タイプ

 採用は、どういう人をどう採るか、ということだ。まず、「どういう人を」という人材構想を創業時から持っておくことだ。もちろんスタートアップは先が読めないが、それでも仮説としてイメージを描くべきだ。

 現実的には、自分とビジョンや価値観を共有できる仲間がベストだ。言い換えると、スキルだけで選ぶと失敗しかねない。すると、自分と自分のスタートアップが何なのか、何を目指しているのかを示さねばならない。これがあやふやだと、せっかく参加した人が、やがて離れていくことになるだろう。

 力になりそうな仲間や相棒に、「いま人が欲しいから、すぐ力を借りたい」といっても、そうは問屋が卸してくれない。あるベンチャー・キャピタリストは、起業は準備に3年かけろと言う。

 以前からいっしょに仕事をしたい人にアプローチし、タイミングが来たら声を掛けるという方が現実的だ。そもそも、年収の3割もの大金を支払って、採用エージェント経由で初対面の人を採るよりも、既に知っている人を手数料なし(メシ代位はかかるが)で迎え入れる方が、費用対効果がよいのは明らかだ。それにベンチャーを相手にする採用エージェントのなかで、ベンチャーの事情をよく理解している、頼りになるところは少ない。

 また、初対面の採用では気をつけたいことがある。岡島氏は、「リファレンスをチェックしないから、未然に防げるはずの採用ミスが多発している」と指摘する。シリコンバレーではリファレンスをとるのは常識だ。面接と書類だけで人を見抜ける目利きなど皆無だ。

注:リファレンス(reference):身元照会・推薦。上司など仕事で関わった人から採用候補者について意見を聞くこと。一般には候補者が指定・紹介した人に連絡をとる。シリコンバレーでは、さらに自らのネットワークを使い、候補者を知る第三者に意見を聞くこともある。

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本荘修二

新事業を中心に、日米の大企業・ベンチャー・投資家等のアドバイザーを務める。多摩大学(MBA)客員教授。Net Service Ventures、500 Startups、Founder Institute、始動Next Innovator、福岡県他の起業家メンター。BCG東京、米CSC、CSK/セガ・グループ大川会長付、投資育成会社General Atlantic日本代表などを経て、現在に至る。「エコシステム・マーケティング」など著書多数。訳書に『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社))、連載に「インキュベーションの虚と実」「垣根を超える力」などがある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

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