韓国の若年失業率を
高めた要因

 韓国では20代の失業率が、全体の失業率を上回る状況が続いている。これは主要国の雇用環境とは対照的だ。近年、世界的に人手不足が深刻化している。日米を筆頭に労働市場はタイトな状況にあり、OECD加盟各国においても若年層の雇用は改善基調となってきた。

 その要因の一つとして、韓国特有の経済構造がある。経済の専門家の中には、韓国では職業選択の機会が相対的に制約されているとの見方もある。どういうことかといえば、韓国では労働組合の影響力が非常に強い。雇用環境が悪化すると、労働組合は既得権益を守ろうと必死になる。そのため、企業は人材採用に積極的になりづらい状況が続いてきたとみられる。加えて、サムスン電子などの大手企業に就職するには熾烈な競争に勝ち残らなければならない。

 さらに、文大統領の経済運営が雇用環境の悪化に追い打ちをかけてしまった。文氏は、所得主導の経済成長を目指してきた。

 理論的に、所得の増加には政府が、規制を緩和するなどして成長期待の高い分野にヒト・モノ・カネが向かいやすい環境を整備することが大切だ。構造改革を進めるために、政治家は国内の多様な利害を調整し、持続的に経済全体が上向くよう方策を練らなければならない。その上で、研究・開発など民間の取り組み活動がよりサポートされるとの期待が高まれば、企業は設備投資を積み増し、雇用が生み出される。それは所得の増加を支える重要な要素だ。

 しかし、文政権は、この発想とはかなり異なる政策を進めてしまった。さらに、半導体市況の悪化などによって景気が減速する中で、文政権は企業が耐えられないペースで最低賃金を引き上げてしまった。

 この結果、文氏の目論見(もくろみ)とは逆に、収益確保を目指して人手を減らさなければならない企業が増えた。文氏は労働組合など、一部の支持層の支持と引き換えに、経済全体の力を大きく棄損してしまったといえる。文政権が経済運営に最低限必要な専門知識を持った人材を確保できていないと、その体制に懸念を募らせる市場参加者もいる。