2020年1月7日、年頭記者会見に臨んだ文在寅大統領2020年1月7日、年頭記者会見に臨んだ文在寅大統領 Photo:Handout/gettyimages

南北交流事業の推進に
舵を切った文在寅政権

 韓国の「中国・ロシア・北朝鮮連合」への仲間入り、つまり“レッドチーム入り”がいよいよ現実のものとなろうとしている。

 文在寅大統領の年頭記者会見での発言や康京和(カン・ギョンファ)外交部長官の米国ポンぺオ国務長官との会談内容、国家安全保障会議(NSC)の動き、盧英敏(ノ・ヨンミン)秘書室長の発言などから分析すると、レッドチーム入りが間近であると思わせる動きがここ数日相次いでいる。それは主として金剛山観光事業に関連したものであるが、今後はそれだけに留まらなくなる可能性もある。

 韓国は米国の理解を得ていると言い張っているが、米国の説明と食い違っており、米国の意向に反する動きを続けている。韓国は自説を言い張り、思うがままに突き進もうとしている。これは韓国が、米国よりも北朝鮮との関係重視に、より一層大きく舵を切ったことの証左でもある。

 文在寅政権は、これまで北朝鮮の非難や挑発にもかかわらず、北朝鮮との融和に腐心してきた。再三に渡って南北の協力事業や交流の必要性に言及し、人道支援も行ってきた。

 しかしながら、北朝鮮は韓国に対して取ってきた厳しい姿勢を改めようとはしなかった。そこで文在寅政権は北朝鮮が一向に振り向かない要因を分析し、韓国が米国の意向を斟酌し、南北協力に躊躇していることが北朝鮮の反発を呼んでいると判断したのではないだろうか。北朝鮮の韓国への反発を和らげ、南北関係を立て直すためには、米国の意向を無視して、南北協力事業を推進していく以外ないと判断した可能性が、ここ最近の動きから分析できる。ついに、韓国が米国離れへ向けて動き出したということだろう。

 東アジアの平和と安定をめぐる日米韓の連携に深刻な影響を及ぼす可能性が一段と高まっており、それは日本の安全保障にとっても深刻な事態となる懸念がある。