「ナンバーワン営業マン」の商談はここが違った

 家を買うには、「マンションか一戸建てか」「新築か中古か」「立地重視か価格重視か」など、さまざまな検討事項があります。

 業績が一向にあがらないメンバーは商談で、その家の素晴らしさをすべて、満遍なく伝えていました。メリットを伝えるのは大切ですが、お客さまが特に重視していない事項まで長々と伝えてしまっては、ただの「自慢話」に聞こえてしまいます。商談の過程で嫌気が差し、「もういいや」と去ってしまうのです。

 業績を上げているメンバーは、その家の素晴らしさをサーッと簡単に伝えながら、お客さまの反応を見ています。そして「耐震性の話をしたときに食いついたな」と察知すれば、その後はお客さまが最も興味を持っている「耐震性」に絞って、ピンポイントでプレゼンします。

 意識を「自分が話すこと」に向けているのではなく、「相手が何を重要視しているのか」に向けているのです。

 リーダーはこれこそが「正しいプロセス」だと確信しました。そこで「商談ではまず、お客さまが何を大切にしているかを見る」という項目を評価に盛り込み、メンバー全員で共有しました。

 これ以降、商談に向けて口上を必死に暗記するようなメンバーはいなくなりました。そんなことをしても結果には結びつきませんし、評価もされないからです。

 住宅販売会社の業績は、次第に上向いていきました。

 部下の結果が出ず、成長を感じられないのなら、「プロセスの踏ませ方」に問題があります。結果を出すための「正しいプロセス」を洗い出し、共有して、改めてそのプロセスを部下に踏ませ直す必要があるのです。