ドナルド・トランプ米大統領は一般教書演説の中で、経済を大統領再選戦略の前面に押し出し、中心に据えた。今回の演説には、大げさな部分もあったが、トランプ氏が示した経済面の主張はしっかりしたもので、明らかに政治的訴求力があった。経済成長は、目覚ましいとは言えないが着実だ。失業率は過去50年間で最も低い。賃金上昇は最も高給の人々だけでなく広範な労働者にまで行き渡っている。トランプ氏が自らの成果と指摘するこうしたトレンドの多くは、大統領に就任する前から始まっていた。だが一般的に有権者は、経済状況を現職大統領と結び付けるものであり、今年に関してもそうするつもりのようだ。トランプ氏の経済運営に関する支持率が、総合的な支持率を継続的に上回っていることは確かだ。このため、大統領選挙が経済に関する国民投票になることをトランプ氏が望むのは当然だ。バーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)が、アイオワ州党員集会での勢いを維持して民主党の大統領候補に指名された場合には、トランプ氏はその国民投票を手に入れるだろう。サンダース氏が浮上すれば、かつては想像もできなかったことが現実になる。それは、少なくとも経済問題に関してはトランプ氏が中道派の大統領候補になる可能性があるということだ。