中国経済の実態を正確に把握するのは平穏な時でも難しい。新型コロナウイルスの感染が拡大している今はなおのこと難しく、一方で、その重要性は一段と増している。1月と2月の公式データ発表はまだ数週間先だが、投資家は二酸化窒素の排出量から映画チケットの販売動向、交通渋滞に至るまで、あらゆる手掛かりに目を凝らしている。こうした代替指標から浮かび上がるのは、「依然としてかなり悪い」ということだ。ただ、経済情勢を見極める創造的なアイデアの中には、他の方法より有益なものがある。電力消費量やチケット販売にこだわるよりは、人々の職場復帰――あるいは復帰不可能――に関する直接的なデータを見る方が役に立つ。アナリストは石炭消費量に注目している。日々報告される数少ない工業指標の1つだからだ。ゴールドマン・サックスによると、大手電力会社による18日の平均石炭消費量は40万トンを割り込み、2019年の春節(旧正月)後に比べ約4割少なかった。かなり厳しい状況のように聞こえるが、製造業の全体像をつかむ指標としては、投資家が思うほど参考にはならない。