「メシ・風呂・寝る」から
「人・本・旅」へ

 さすがに年2000時間も働いたら、勉強する暇はないでしょう。
 しかも、日本では、上司が部下を連れて飲みにいったりカラオケに行ったりする悪習があるわけですから、「メシ、風呂、寝る」の生活しかないわけです。

 こんな状態で、いいのでしょうか?
 世界最先端のGAFAやユニコーンで働く人たちは一所懸命勉強しています。
 こんな労働環境で、日本人はいつ、どこで、勉強時間を確保するのでしょうか?

 そもそも大学に行かない。
 大学に入っても勉強しない。
 企業も社会も大学院生を大切にしない。
 企業に入ったら長時間労働で勉強する暇がない。
 ……つまり、日本は社会構造的に低学歴になっているのです。

 実は、政府も、これからの日本は「メシ、風呂、寝る」ではもうもたないと気づいていて、昨年4月から残業規制を軸とした「働き方改革」を始めたのです。

 これは、「メシ、風呂、寝る」から、勉強する生活に変えなさいという合図です。でも、まだそれが伝わっているようには見えません。

 僕は、「人・本・旅」といっていますが、早く帰って、いろいろな人に会ったり、本を読んだり、流行っているお店などに行くのは楽しいですよね。

 脳みそに刺激を受けなければ、新しいアイデアなど絶対に出てきません。

 だから、3つ目のキーワード「高学歴」も日本は該当しないわけです。

 なぜ、新しい産業が生まれなかったかといえば、「女性」「ダイバーシティ」「高学歴」というすべてのキーワードに逆行した旧態依然たる社会を維持してきたので、新しい産業が生まれなかったということです。

 続きは次回にしましょう。

 過去の僕の『哲学と宗教全史』全連載は「連載バックナンバー」にありますので、ぜひご覧いただき、楽しんでいただけたらと思います。