「桜を見る会」疑惑追及が
優先されるべき理由
安倍晋三首相は、通常国会での施政方針演説で、地元後援者らを税金でもてなした「桜を見る会」の疑惑も、「カジノ汚職」も、菅原・河井元大臣らの公選法違反問題にも言及せず、ひたすら東京五輪の「成功」を目指すことや「改憲」の意欲を喧伝した。
その後の予算委員会でも、桜を見る会の推薦者名簿の調査や夕食会の明細書などの提出にも応じないままだ。17日には、夕食会代のホテルへの支払いは参加者個人がやり、ホテルは参加者個人に宛名のない領収書を出したなどと、安部首相が説明してきたことを、ホテル側が、野党に出した文書で「否定」していることが野党側から明らかにされたが、首相が国民に対し疑惑を自ら払拭しようという姿勢は感じられない。
与党からは「いつまで桜(を見る会の追及)をやっているのか」「もっと議論すべき重要なことがある」と、幕引きを図る声も出るが、「潔白」を言うなら、国民が納得するきちんとした説明をすべきだろう。
社会全体を考えるべき政治家が税金を私物化し、官僚組織が政権におもねって、公文書を廃棄したり改ざんしたりして証拠を隠すようなことがまかりとおることになれば、社会の規範が一気に崩れる。
“仲間内”で利益を分け合い、権力に近い人間だけが甘い汁を吸うことで、公正なルールを壊してしまうと、モラルは壊れ、企業経営も産業も腐っていく。 日本はその「寸前」に来ている。