新型コロナウイルスが中国・武漢で急速に広まり、パンデミック(世界的大流行)になる可能性があると、12月上旬にすでに分かっていた投資家がいたと想像してみよう。あるいはこの人物が12月末に少なくとも(新型肺炎にいち早く警鐘を鳴らし、当局にデマ扱いされた)李文亮医師の警告を耳にし、それを聞き入れたと想像しよう。この情報をもとに行動するなら、例えば最高値圏にあるナスダック総合指数を空売りするのは良い考えに思えたかもしれない。しかし結果は悲惨だっただろう。同指数が2月19日に日中最高値をつける頃には、警告を受け入れた投資家であれば、20~30%といったかなりの相場下落を見込んでいたはずだ。だが、不測の事態に備える投資ポートフォリオを手がけるあるヘッジファンドは、そのような洞察をすることなく、2月に思いがけない大当たりを出したようだ。マーク・スピッツナーゲル氏率いるユニバーサ・インベストメンツは、「ブラック・スワン―不確実性とリスクの本質」の著者ナシーム・ニコラス・タレブ氏の理論に沿った投資戦略を実践しており、運用資産は2018年末時点で40億ドル(約4300億円)余り。ライオンズクレスト・キャピタルの創設者で同ファンドに長年投資しているクロード・ボベット氏は、ユニバーサが手がける運用手法の1つであるテールリスク・ヘッジ戦略が、ほんの数日で1000%以上の利益を上げたと推計する。
新型コロナをヘッジする投資戦略とは
流行を想定せずに大もうけした「ブラック・スワン」ファンドのユニバーサ
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