米政府は昨年、北朝鮮が保有する特に積載量が多い貨物船1隻を差し押さえた。米当局は貨物船の没収で北朝鮮による制裁破り、石炭など一次産品の輸出継続が非常に難しくなるとの見解を示していた。だが北朝鮮は既に代わりの貨物船を手に入れている。経営難に陥っていたベトナム国営海運会社は2018年半ば、ばら積み貨物船(積載量1万6000トン)を売りに出した。船舶記録によると、貨物船は少なくとも今年1月以降、北朝鮮の旗を掲げて航行している。同月には北朝鮮西部の主要コンテナターミナルである南浦港の近海で船舶の位置を知らせる無線信号を発信していた。北朝鮮経済の命綱を断とうとする米国や同盟国の2年間にわたる取り組みにもかかわらず、北朝鮮が海上貿易を継続していると指摘する新しい報告書にもこの貨物船は記されている。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に圧力をかけるための国際的な取り組みはここ数カ月で亀裂が生じており、北朝鮮の一般市民に影響を与えているとして、中国とロシアは制裁緩和を求めている。