なんでもサブスクリプションのご時世に、今年は映画館サブスク見放題が普及することになるかもしれない。株式会社WEDは月額3980円で、映画館などの入場料が実質割引となる「Premy」(プレミー)を開始。さらに東急グループは交通、映画、食事が一体となったサブスクサービスを3月から開始予定だった(コロナで延期が決定)。そんな映画館のサブスクサービスの課題や展望などを映画批評家の前田有一氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)

アメリカでは失敗例も
映画館の定額制見放題

日本で映画のサブスクサービスが浸透するには、どうすればいいのでしょうか?
配給会社が音頭を取ってくれれば容易に浸透するはずだが、現状ではその可能性は低そうだ Photo:PIXTA

 猫も杓子(しゃくし)もサブスクの時代に、映画館もその俎上(そじょう)に載せられている。東急グループは東急線、東急バス沿線の乗り放題サブスクプランに、運営する映画館(109シネマズ)の見放題、もしくは東急線沿線の駅構内にある立ち食いそば「しぶそば」の食べ放題を選択できるようにしたサブスクサービスを企画していた。

 さらに、株式会社WEDは月額3980円の「プレミー」を招待制で導入している。これは、サブスクといっても、いわゆる定額見放題とは少し違う。映画の半券をスマホで撮影し、運営会社に送信すると1000円キャッシュバックされるという仕組みで、美術館、水族館などでも同様のサービスが適用される。ちなみにWEDは元々、レシートを撮影し、それを買い取るという事業を展開しており、今回のサービスもその延長線上だとみられる。

 映画館のサブスクサービスは今に始まったことではない。アメリカでは2011年に「MoviePass」という企業が映画館の定額見放題サービスをスタートさせている。当初は月額料金50ドルだったものの、2017年に9ドル95セントに下げたことから会員数が激増。しかし、会員が映画を見れば見るほど赤字になってしまった。

 その結果、2018年に運営会社が経営難に陥り、対策として人気映画や新作映画の鑑賞に制限を加えたり、料金を値上げしたりなど試行錯誤するも、会員数は激減。一時期は300万人いた会員は、昨年約22万人にまで減ってしまったという。

「基本的に映画の見放題サービスだけで採算をとろうとしても難しいのが現状です。会員のビッグデータを利用するとか、広告を入れるなどしないと、この手のサブスクは厳しいと思います。特にアメリカは日本と違って地域によって大きく映画料金が異なるので、サブスクにしてもお手頃感は薄かったのです」(前田氏、以下同)