レビュー
音楽ストリーミングサービス「Spotify」や野菜宅配サービスの「Oisix」。近年、こうした新しい形のサブスクリプションサービスが脚光を浴びている。いわば「サブスク2.0」と呼べるサービスが数多く誕生するなかで、当然ながら成功するものもあれば失敗するものもある。
本書『サブスクリプション2.0 衣食住すべてを飲み込む最新ビジネスモデル』はサブスク2.0の実態や特徴を分析し、様々なケーススタディを通じて、この新しいビジネスモデルを成功に導くために何が必要なのかを解き明かしていく。もちろん、確固たる成功パターンが見えているわけではない。しかしながら、本書はサブスクリプションの本質を突いた、事業成功に通じる根本的な原則を鋭く捉えている。
そもそもサブスクリプションがどのような経緯で生まれたのか。サブスクリプションサービスの料金設定やマーケティング方法、KPIの設定など、具体的な戦略を立てる際の肝は何なのか。失敗事例からどんな教訓を得られるのか。こうした、読者のまさに知りたいところに切り込んだ一冊だ。
本書に登場するサブスクリプションサービスはいずれも興味深く、実際に会員になってみたいと思わせるものも多い。サービスの魅力をどう設計していくかという観点に立つと、各事例の応用の幅がさらに広がるはずだ。サブスク2.0というビジネスの最前線をわかりやすく提示した本書は、あらゆる業種の方に多くのインスピレーションを与えてくれることだろう。(池田明季哉)