マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ氏が先週、「ありがとう、医療従事者のみなさん」と書いたサインを窓際に掲げる3秒の動画をインスタグラムに投稿すると、激しく「炎上」した。ゲイツ氏は党派色が強く、人道に対する罪を犯した人物だと断じたり、ワクチンや世界保健機関(WHO)などに関するさまざま陰謀説に同氏を結びつけたりするコメントが殺到したのだ。
世界有数の富豪で、公衆衛生政策の熱心な支援者でもあるゲイツ氏は、かねてネット上の嫌がらせの標的だった。ただ最近のソーシャルメディア上での攻撃は激しさを増しており、ワクチン反対派から新型コロナウイルスを次世代通信規格「5G(第5世代)」と関連づける陰謀論者まで、さまざまな方面から矛先が向けられている。
今週になって攻撃が増すきっかけとなったのが、コロナ対応の不備を理由にWHOへの拠出金を停止するとしたトランプ政権の決定をゲイツ氏が批判したことだった。ゲイツ家が運営する慈善団体「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」はWHOにとって米国に次ぐ2位の資金提供者だ。