存在感を高める地方自治体
政府の意向を押し切った小池都知事
緊急事態宣言の解除の是非に注目が集まる中、地方自治体の動きが目立っている。東京都の小池百合子知事は、4月25日から5月6日までの12日間を「いのちを守るステイホーム週間」と位置づけ、休業や外出自粛を強く求めた。
小池都知事は新たな感染防止策として、都民に買い物を「3日に1回程度」に減らすことを呼びかけ、駐車場や遊具広場、キャンプ場を閉鎖し、事業者には12日間の連続休暇を求め、自主的に休業した商店街には奨励金を交付すると発表した。
また、小池都知事は安倍政権が「緊急事態宣言」をなかなか出さなかったとき、「国家としての決断が求められている」と首相に決断を促す一方で、緊急事態宣言が発令された場合における都の対応措置の概要案を先行して公表するなど、スピーディーかつ強いメッセージ性のある対応を取った(第237回・P4)。
緊急事態宣言が発令された後も、小池都知事は休業要請を出す時期や範囲を巡って政府と対立した。都知事は、休業要請の対象とする施設を詳細に決めた案をまとめ、都議会に示し、メディアでも先行して報じさせた。だが、政府が経済への打撃を懸念して百貨店や理美容業、ホームセンター、居酒屋、屋外の運動施設が対象になることに「厳しすぎる」と難色を示した。
小池都知事は「命ファースト」を全面的に押し出して政府と粘り強く交渉を続けた。結局、東京都は百貨店や理美容業、ホームセンターなどを休業要請から除外したが、居酒屋については酒類の提供時間を午後7時までとすることで政府と折り合いを付けた。
また、百貨店については小池都知事が当初示していた案に従って既に休業を決めていた店舗が多く、一部の店舗が「デパ地下」を開店するが、多くは全店休業することになった。緊急事態宣言の根拠となっている特別措置法では、政府が都道府県の措置を「総合調整」することができると定めているにもかかわらず、都知事は多くの部分で政府を押し切った。