新型コロナウイルスの感染拡大と、それを受けた政府の非常事態宣言によって、多くの学校が休校の延長に追い込まれた。「学生の学ぶ権利」を守ることは重要だが、この「有事」において最優先に考えるべきは学生からの感染拡大を絶対に起こさせないことだ。そこで、筆者から一つ提案したい。こうした未曾有の国難を、日本の大学の国際競争力アップにつなげる妙案があるのだ。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)
緊急事態宣言が発動
対象は7都府県
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、4月8日午前0時、安倍晋三首相が「緊急事態宣言」を発動した。対象となる地域は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県で、期間は1カ月の見通しだ。今後、知事の権限で「私権制限」を含む強力な措置が取れるようになる(本連載第235回)。
緊急事態宣言の発動に伴い、学校の休校を延長する自治体が相次いでいる。東京都の小池百合子知事は、4月7日を中心に予定されていた都立校の始業式を延期した。また、休校をゴールデンウィーク最終日の5月6日まで延長する方針を決定した。
首都圏の大学の多くは、授業開始時期の延期を決定している。早稲田大学は授業開始日を4月20日以降としていたが、5月11日に繰り下げ、春学期の授業はオンラインで実施するとした。慶應義塾大学や明治大学、法政大学、立教大学なども同様に授業開始を延期している。早稲田大学はこれに加えて、4月8〜21日の間のキャンパスへの立ち入り禁止も決定した。一方、東京大学は4月から授業を予定通り行うが、すべてオンラインで行い、キャンパスへの入構は制限をしている。