ブリヂストン リストラ後の跳躍#8ブリヂストンの新たなグローバルCEOに就任する森田副社長(左)と、バトンを渡す石橋氏(右)。リストラフェーズから成長フェーズへの移行も意味する(写真提供:ブリヂストン)

ブリヂストンは10月23日、6年ぶりに、グローバルCEOを交代すると発表した。石橋秀一グローバルCEOからバトンを受け取るのは、森田泰博副社長だ。現在52歳の若さで、創業家を除けば、最年少での経営トップ就任となる。森田氏は、強い決意である「ミッション」に挑むという。この人事は、ブリヂストンが石橋体制で進めてきた再編・再構築といったリストラフェーズから成長フェーズへの移行も意味する。特集『ブリヂストン リストラ後の跳躍』の#8では、森田新CEOのミッションの実現可能性に迫る。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

「自分にできるのか、大変なことに…」
22年間で7カ国を経験、海外畑の森田新CEO

「(52歳と若く)年齢的な面もあるため、本当に驚いた。自分にできるのか、大変なことになったな……」。森田泰博副社長は、CEO(最高経営責任者)打診を受けた際の胸の内をこう明かした――。

 ブリヂストンが、2020年以来6年ぶりに、経営トップであるグローバルCEOを交代する。26年1月1日付で、石橋秀一現CEOが退任し、森田氏が昇格する。

 森田氏は1972年生まれで、現在52歳だ。創業家出身者を除けば、最年少でのトップ就任となる。森田氏は海外畑のキャリアを歩み、計22年間でタイや中国など7カ国でビジネスに携わってきた。

 ブリヂストンは売上高の7割超を海外が占めており、石橋氏が20年にCEOに選任された理由の一つは、北米をはじめとした海外経験が豊富なことだった。森田氏も同様の評価を得たものとみられる。

 20年から続いた石橋体制では、非タイヤ事業の売却や、タイヤ工場閉鎖といった再編・再構築が中心だった。25年度には、構造改革の総仕上げとして、国内での希望退職募集や、販売網の再編にも着手している(詳細は本特集の#1『【独自】ブリヂストンが国内で「数百人規模の希望退職」を募集!石橋CEOによるリストラ策を一覧にして徹底解明《完全版》』参照)。

 だが、こうしたリストラフェーズは終わりを迎え、まさに今、成長フェーズへと移行している。

「25年度下期から、質を伴った成長へ」――。

 石橋氏は、かつてより、こう繰り返していた。成長フェーズに移行したタイミングでバトンを託されたのが、森田氏というわけだ。そんな森田氏は、自身に「あるミッション」を課した。

 次ページ以降では、森田氏が強く決意する「ミッション」の内容を明かす。一体何か。その使命は達成できるのだろうか。