問われる銀行の姿勢
全ての融資要請に応えるべきか
銀行は、企業からの融資要請に対する姿勢が問われている。一時的に資金繰りが厳しくなった企業からの融資要請には積極的に応じるべきだ。地方銀行であれば、地域の経済や雇用を守るため、リスクをとってでも融資要請に応じるという選択肢もあるだろう。融資要請を断ることで、本来生き残れるはずの企業が多数倒産し、新型コロナの問題が解決した後の景気回復が阻害される事態は避けるべきだ
ただ、銀行は全ての融資要請に応じられるわけではない。今後は、急速な景気悪化に耐えられなくなった企業の倒産が増えるだろう。また、業況悪化や返済遅延による格下げで、貸倒引当金などの与信費用が増えるリスクは高い。全ての融資要請に応じていれば、与信費用が大幅に増え、銀行自身の経営が立ち行かなくなる。
全ての融資要請に応じるべきでないのは、地域経済に限ったことではなく、日本経済全体に言える。リーマン・ショック後の09年に施行された中小企業金融円滑化法は、銀行に融資先の返済条件緩和に前向きに応じることを促し、企業の返済負担を軽減させた。しかし同法は、本来であれば淘汰されて然るべき「ゾンビ企業」を多く生み出した。
ゾンビ企業が多く生まれた結果、日本では企業の新陳代謝が起きず、非効率で生産性の低い分野に多くの資本、人材が滞留することになった。2010年代後半に中国では新興企業の活躍でキャッシュレス化の動きが一気に進み、東南アジアでは配車アプリといった新サービスが急激に普及したが、日本ではこうした先進的な動きが起こらなかった。規制など様々な理由はあるだろうが、筆者は必要以上に手厚い金融支援で、市場から退出すべき企業が退出しなかったことが一因だったと考えている。



