危機対応融資を巡る不祥事からの再生に向け、ビジネスモデルの変革に取り組む政府系金融機関の商工組合中央金庫(商工中金)。目指すのは企業再生と地銀との連携だ。特集『選別される銀行』(全15回)の#14では、関根正裕社長にその成否を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 布施太郎)
ボリューム拡大競争はやらない
地域金融機関と協調する
──2017年に危機対応業務に関する不正融資が発覚し、行政処分も受けました。改革はどこまで進んでいますか。
ガバナンスは社外取締役が過半という体制をつくったし、コンプライアンス部門と監査部門を社長直轄にした。風通しを良くする企業文化に改革するために、組織としては、顧客と接する営業店が一番上で、本部は営業店をサポートする位置付けとした。
ただ、目標設定の改革が一番効果が大きいと思う。今までは本部が各営業店に業績項目を割り振っていたが、自分の店の計画については自分たちで作るように変えた。半期の計画、短期の計画だけではなくて、3年間の支店ごとの中期計画も作ってもらっている。支店長や次長などの管理職だけではなくて、窓口の職員も含めた全職員で議論してもらっている。
地方ごとに特性があり、顧客の業種も経済環境も、地域や風土も違う。人の気質も違う。自分たちの支店がどうあるべきかを議論して計画を作ってもらっている。
また、個人のノルマも廃止し、融資の目標を外して本来やるべきことをやるというふうにしたことはすごく大きかったと思う。