#7トータルの組織力で勝負

銀行の未来の姿に光を当てる連載『銀行の近未来』。大手銀行グループのりそなホールディングスが、7年ぶりに社長交代を発表した。南昌宏新社長が描く、新しいりそなの在り方を聞いた。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

1600万口座のうち90%は事業につながらず
りそな新社長はデジタルで道を開く

――4月から新しい中期経営計画が始まります。目玉の施策は何でしょうか。

 二つ大きなテーマがある。一つはもう一度りそなグループの強みを再認識し、既存のビジネスの深掘りと差別化をすることだ。

 長くリテール(個人、中堅・中小企業向け)業務に特化してきた中で、個人の稼働口座はグループ全体で1600万口座、取引のある法人が50万社ある。この顧客基盤に、私たちが持つ高度な信託機能を掛け合わせることで、資産の承継や運用においてビジネスチャンスが相当生まれる。さらに、デジタルとデータという新しい要素を掛け合わせれば、ビジネスの深掘りはまだできると思っている。

 もう1つのテーマは、時代が変化する中で新規ビジネスを創造することだ。中計の3年間は、この2軸に取り組み続けたい。

――個人の1600万口座の中にも、リーチできていない顧客がたくさんいるのではないでしょうか。

 支店の窓口担当や渉外がフェーストゥフェースで会い、そこからビジネスまで発展できているのが全体の約10%だろう。デジタルとデータは、そのつながっていない層への道を開くものだ。