「会社を守るのは『利益』ではなく『現預金』」「お金は雨の日に傘を貸してくれないのだから、晴れの日に借りまくるしかない」は、『借りたら返すな! いちばん得する!儲かる会社に変わるお金の借り方・残し方』で経営者のための財務戦略として伝えた内容の一部です。新型コロナウイルスの影響で、経営者はあらゆる判断を迫られています。選択を間違えないよう、いま、できることをお伝えいたします。
会社を守るのは「現預金」
言うまでもなく、新型コロナウイルスの影響がすべての業種・業界に出てきています。
4月7日、安倍総理から”緊急事態宣言”が発令され、先行きが見えない不安と恐怖だらけだと思いますが、会社を守れるのは、やはり「現預金」だけだと痛感しています。
普段から現預金残高を必要以上に持ち、非常時に備える”財務戦略”をとっていた会社は、このような非常事態が起こってもすぐに資金不足になることはありません。
さらに強いのは、平常時に金融機関からきちんと調達をして現預金を持っている会社です。なぜなら金融機関から大きい金額を調達するには、利益をきちんと出し、納税し、純資産を厚くする必要があるからです。
また、財務状態がいいとはいえ、中小企業で新規に金融機関取引を開始するには、一定のハードルがあるため(特にメガバンクとの新規取引は難しい場合が多いです)、普段から複数の金融機関ときちんと取引実績を積み上げている会社は、有事の際にもすぐに調達することができます。
これを「複数行取引の重要性」と私は伝えていますが、特に昨今の金融情勢の影響で、地方銀行等の統廃合は加速しているので、地方銀行等との取引数は、あればあるだけいいのです。
また、今回のセーフティーネット等の信用保証協会の制度は民間金融機関を通しておこなうため、金融機関との密な関係は有利になるでしょう。
今回のコロナショックのように国を挙げての対策となると信用保証協会だけでなく、政府系の金融機関との付き合いも大事だと改めて実感します。
政府系金融機関は国の意向にそって緊急融資を出してくれます。しかし、このような状況下では、政府系金融機関も緊急対応に追われているため、新規に申し込むと、長い待ち時間と審査により、現預金が少ない会社は融資が出る前に資金ショートしてしまうでしょう。
借入・融資の財務戦略の話をすると、決まって「借入金だからと不安になる」と言う方もいます。コロナショックの影響がいつまで続くか誰もわからない状態で、企業を守れるキャッシュを集められるだけ集めるべきです。
「借金が不安」という方は、コロナショックが収まって本当に不要であれば返せばいいんです。当たり前ですが、借入しても使わなければ返せるはずです。
財務戦略の基本である「調達」は、できるだけ大きい金額を、できるだけ長い期間で、できるだけ返済の据置期間を長くしましょう、です。
金利は二の次です。
さらに言うなら、このような非常事態に高金利で提案してくる金融機関はあまりないでしょうし、そうであれば今までの財務戦略が悪いので仕方ないと割り切りましょう。
金利は少しでも低くしてほしいですが、ただ、金額を計算するとそれほど大した差はないはずです。保険料だと思って割り切ることが大切です。
繰り返しになりますが、企業はゴーイングコンサーンでなければなりません。継続することに価値があり、価値を生み出すためには、続けなければいけません。
財務の基本、それは「手元の現預金残高を最大化すること」。
改めて、普段の財務戦略が大切だと気づかされます。