新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、貿易の流れや世界各国の経済を寸断した。米国と中国の貿易関係改善という期待も打ち砕いているとしても、驚きではない。米中貿易協議の「第1段階」合意は、(中国の産業・関税・為替政策の抜本改革ではなく)米国産品の大量購入に基づいており、正常な状況でも元々、極めて疑わしい内容だった。中国による購入急増は、米国産品に対する新たな需要を生み出すのではなく、単に貿易の流れをシフトさせ、米国産品の価格を押し上げるだけに終わる恐れがあった。だが、感染が各国へと急速に広がり、世界的な物流網がぜい弱になる中で、コロナ危機により、こうした野心的な管理貿易の拡大を実行に移すことが、いかに困難であるのかが露呈した格好だ。