ロシア政府による検閲の影響が徐々に広がる中、独立報道の最後の砦(とりで)の1つとされる有力経済紙が現場スタッフと新上層部との争いにより、その「声」を失いつつある。ベドモスチは、他のメディアの先陣に立って、プーチン政権やその支持派が経済界への影響力を強め、プーチン氏寄りの政党を支持するよう有権者を誘導している実態を暴いてきた。ベドモスチは、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)や英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)を含む報道機関の合弁で1999年に設立された。ロシアがウクライナからクリミア半島を併合した2014年には、政府の攻撃的な外交政策を批判する急先鋒(せんぽう)に立った。他のメディアが時に国家組織やプーチン氏の取り巻きによって買収されるなどして、批判を控えるようになる中で、ベドモスチは悪化の一途をたどるロシア経済の問題や一般国民の間でウラジーミル・プーチン大統領への信頼感が失われつつある現状を伝え続けてきた。