中国が香港の統制強化のため「香港国家安全法」を制定する方針を表明したことを受けて、金融市場や経済界には衝撃と警戒が広がっている。国際金融の拠点である香港は、1年にわたる市民デモや新型コロナウイルス流行ですでに経済的に大きな打撃を受けており、さらなる足かせとなりそうだ。香港株式市場のハンセン指数は22日、不動産やインフラ銘柄中心に売りが膨らみ、6%近い急落を演じた。1日の下落率としては2015年7月以来の大きさだ。中国が制定を強行すれば米国との緊張が高まる可能性が高く、先行きに対する投資家の不安が浮き彫りとなった。企業関係者の間では、コロナの感染拡大がひとまず落ち着いたことで、中国当局が民主化デモの再燃を事前に封じるとの見方は出ていた。だが、政権転覆や暴動、外国勢力の介入に対処するため国家安全法の制定に乗り出したことについては、香港の立法権を認めた長年の政策に対する中国の拒絶姿勢が劇的に強まったことを示すものだとの見方が出ている。