歴代の米大統領は過去50年にわたり、米中関係の最も危険な火種である台湾を巡って入念に練り上げられた規範をきちんと守ってきた。中国の習近平国家主席は、ドナルド・トランプ大統領がこうした米国の定石を打破するのではないかとみている。2017年に国賓としてトランプ氏が初訪中した際、同氏は前任者らに比べ、台湾に対する考え方が取引に近いことを中国政府はうすうす感じ取った。元米当局者らによると、トランプ氏は、習氏が台湾の地位について蔡英文総統(当時)と交渉するのを支援すると申し出た。「彼女とは知り合いだから」。同当局者らによると、トランプ氏は習氏にこう語った。「この女性との交渉なら力になれる」中国側は衝撃を受けた。中国政府の意思決定に近い関係者らによると、それはあまりに唐突な提案だったため、習氏は単なる思いつきではないかと疑った。初の首脳会談に至るまでの間、当時就任したばかりだったトランプ大統領は逆方向から規範を破っていた。蔡氏から祝意を伝える電話を受けたり、台湾は中国の一部であるとの中国の主張を認める米国の政策に疑問を呈したりしていた。