新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の初の治療薬候補が全米の病院に届き始めた。だが、量が限られていることに加え、州や郡、病院によって配分の指針が異なることから、実際に投与を受けることができるかは、患者の所在地が大きく左右する構造になっている。米医薬大手ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬「レムデシビル」はこれまで、コロナに感染した入院患者の回復をやや早める効果が治験で確認された(レムデシビルの救命効果は分かっていない)。同社は当初の供給分を連邦政府に寄付し、政府が各州に配分している。米食品医薬品局(FDA)は5月1日の緊急使用許可(EUA)に基づき「レムデシビル」の指針を策定したが、医師らはあまりにも幅広いとの指摘が出ている。また、どのような患者が同薬の投与によって最も恩恵を受けるのかに関する研究結果もほとんど公表されていない。病院への配分を担当する州や郡は、それぞれ大きく異なる指針を策定している。また、病院も対象患者の選定に関して異なる基準を設けているため、ある場所では投与対象の患者になるが、他の場所では除外されるといったことが起こり得る状況になっている。