
日本はスパイ活動に対する法整備が不十分なため、スパイが活動しやすい「スパイ天国」だという。新刊『元公安捜査官が明かす諜報最前線 スパイは日本の「何を」狙っているのか』(青春出版社刊)から、日本に潜むスパイの実態と、スパイの真の狙いについて抜粋して紹介します。
スパイはあなたの隣にいる
私は常々、「東京で通勤・通学している人は、一度はスパイとすれ違っていますよ」と申し上げています。スパイの定義にもよりますが、スパイ本人だけでなく、その協力者やネットワークまで含めると、都内には無数の「関係者」が存在しています。
彼らはコンビニにも行けば、カフェにも行く。高尾山でハイキングをすることもある。
つまり、あなたの隣にいるかもしれないということです。
さらに最近の傾向として、サイバー上でのスパイ活動も増加しています。AI技術が進歩する中で、詐欺メールやフィッシング、ハッキングといった形での情報収集も頻発しています。これはもう、東京だけの話ではなくなっています。
47都道府県すべてにおいて、スパイ活動のリスクは存在しているのです。
日本が「スパイ天国」と呼ばれているのは、日本の法律では、スパイ行為を未然に取り締まる法的枠組みが整備されていないため、現場での対応が後手に回っているからです。
だからこそ、一人ひとりの情報リテラシーを高めることが最重要なのです。
スパイにとって、「働きづらい国」だと感じさせること――これが最大の抑止力です。