逮捕の方針は固まったが、京都府警は伏見署では青葉容疑者が勾留に耐えられないと判断。法務省に相談し、医療設備が充実している大阪拘置所を収容先に決めた。

 同拘置所は青葉容疑者を収容するため、ストレッチャーや介護用ベッドが入る個室を用意。感染症対策のためエアコンも配備し、特別な入浴設備も用意するなど、環境を病院並みに整えた。

 至れり尽くせりで、そこまで徹底して逮捕後に備えたというわけだ。これは「真相を解明することが亡くなった方や遺族のためだ」(川瀬捜査1課長)という決意の表れなのかもしれない。

事実か、荒唐無稽な妄想か

 青葉容疑者は事件を起こした日、身柄を確保される際に「小説を盗まれた」「俺の作品をパクった」と叫んでいたとされる。

 これまで、京アニが年に1度開催している「京都アニメーション大賞」に青葉容疑者のものとみられる投稿があったことが判明。

 京アニの代理人弁護士は「(応募したのが青葉容疑者と)同一人物なのか確認できない」としつつ、内容を確認したところ「これまでに京アニが手掛けた作品と似たような表現は確認できなかった」と説明していた。

 これも青葉容疑者の投稿か確認されていないが、インターネット上に「アイディアをパクる貴様らだけは許さん」「原稿を落とされた」などの投稿があったことも明らかになっている。

 取り調べでは当然「盗用されたというのはどこの部分を指しているのか」という追及があるだろう。

 ありえない話だが、本当に青葉容疑者が投稿した作品に京アニの作品に似た表現があるのか。それとも荒唐無稽な妄想に過ぎなかったのか。

 いずれ「盗用された」と思い込んだとしても、普通の感覚なら抗議すればいいだけの話だ。しかし青葉容疑者は70人が働くスタジオにガソリンをぶちまけ、火を放つという凶行に及んだ。

 過去に精神障害で通院していた時期があったという青葉容疑者。精神鑑定になるのは必至だろう。

 犯人性は間違いなく、取り調べ以外の捜査は全て終わっているはずだ。逮捕から精神鑑定・鑑定留置、起訴、そして公判前整理手続きと進むとみられる。

 起訴されても、公判は最高裁までもつれ込むだろう。判決が確定するまでにいったい、何年かかるだろうか。

 青葉容疑者本人も覚悟しているように、死刑判決は動かないだろう。

 しかし、犯行の動機が解明されても、判決が確定しても、死刑が執行されても、京アニ36人のかけがえのない命が戻ることはない。