米中製造業の密接な関係によって1990年代初めに太平洋で発達した巨大な「チャイメリカ」圏は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前から、とっくに最盛期を過ぎているように見えた。パンデミックに起因する物資不足は、衰退に追い打ちをかける要因となりそうだ。米中デカップリング論の中心となってきた高性能半導体の製造ばかりでなく、経済的なつながりの後退は、多岐にわたる業界や国にさまざまな形で波及するだろう。付加価値の低い製品の生産はますます他地域へ移転し、関税や劣化する政治環境がそれに拍車をかけるだろう。繊維製品や通信機器の一部は、中国が世界の市場シェアの約3割を占める最大の輸出国となっているが、アジアにおける低コストの代替生産地に奪われる部門の一つになるかもしれない。