新型コロナウイルス危機は航空業界に投資する良いタイミングとは到底言い難い。だが、航空機メーカーが何年分もの受注を確保していることを投資家は忘れているようだ。過去1カ月間の市場は判断力を失っていた。まずパンデミック(感染症の世界的大流行)で打撃を受けた株に買いが殺到し、その後、先週は第2波への警戒感からそれらが売られた。米航空機大手ボーイングと欧州同業エアバスの株価は概して、より経済悪化の影響を受けやすいビジネスモデルを持つ航空会社やエンジンメーカーの株価と同じような動きをしていた。もちろん、航空機メーカーも影響を受けるだろう。その主要顧客は航空会社だ。国際航空運送協会(IATA)の見通しによると、航空業界全体が黒字に戻るのは早くても2022年になる。特にボーイングは大きな打撃を受けており、運航停止中の737MAX機の今年の受注は、キャンセルにより615機の純減になっている。ボーイングはエアバスよりも、国際線に使われるワイドボディー機への集中度が高く、回復にはより長い時間が必要とみられている。